ロゴ デザイン界の巨匠、ディーター・ラムス

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デザイン界の巨匠、ディーター・ラムス

カラーの後からミニマリズムへと移行しますが、ミニマリズム的な形状にはインダストリアルデザインの「機能主義」派のディーター・ラムスの影響が見て取れるようになっています。ディーター・ラムスはデザイン業界では伝説ともいえる立場の人物で、BRUAUNデザインのチーフとして500を超える名作を代に送り出した巨匠でもあります。

アップル製品のデザイン:ミニマリズム~ダーク・アルミニウムまで

カラー色から、ミニマリズムへとアップル社の製品デザインは変化していきますが、ミニマリズムは形態や色彩を最小限度まで突き詰めようとした理論でもあり、「必要最小限」を目指している手法です。ミニマリズムは音楽の分野や建築、そして美術の分野へと波及しました。

ミニマリズム

2001年に、アップルは複数の色彩を用いた半透明デザインから、二つのデザインへと移行しています。Powerbook G4とともに登場したプロフェッショナル版モチーフでは、産業用メタル(初期にはチタン、後にアルミニウム)を採用しています。

iBook G3とともにデビューした消費者向けミニマル・デザインは、光沢のある白色で、透明感はなくなっています。 両ラインとも、柔らかで丸みを帯びた形状から、簡素化され直線的なミニマリズム的な形状へと変化しています。こうしたデザインに変化したのには、ドイツのインダストリアルデザイナーのディーター・ラムスから大きな影響を受けているようにも見受けられます。影響を受けている明確な例として挙げられるのがiPhoneの計算機アプリケーションですが、この計算機アプリケーションはラムスが1978年にデザインしたBraun Control ET44計算機からの直接的影響が見てとることができます。

iPodもユーザー向けラインの見た目を引き継いでいて、不透明な白色の前面を特徴になっています。アップルのiPodが成功して幅広い年代に広く受け入れられたことで、ジョナサン・アイブとそのデザインチームも影響を受けたようです。そして一部ではiPodのデザインと、それに続いたiMac G5やMac miniのデザインとの間には驚くほどの類似点があるのでは。と指摘する声も出ています。 アップルは、iMac G5のリリースを「iPodのクリエーターから」として、両製品の写真を並べることでデザインの類似点を目立つようにしてプロモーションさえしていました。

最近のAirport ExtremeやApple TV、iPhoneのデザインはこのトレンドを踏襲しているため、製品ラインに共通したシンプルで丸みを帯びた四角スタイルを採用しています。

ダーク・アルミニウム

より最近のデザインは、白色プラスチックからガラスとアルミニウムへと移行しています。この新しいデザインフェーズは、極限までのミニマリズムへと突き進んでいるアップルの姿勢を表しています。

アルミニウム「ユニボディ」製品は、先行製品よりも洗練されていて、よりソフトでありつつ、より鋭角的なエッジを備えていて「そこに存在する必要のない」あらゆるものを取り去っていて、非常にさっぱりした表面になっています。

第一世代のiPhoneはこのダーク・アルミニウムスタイルとともにデビューしました。背面とガラスの前面にダーク・アルミニウムが目立つようになっています。このデザインはiMacラインにも採用されていて、ガラスに覆われたスクリーンとその周辺の黒い縁取り除いて、表面のほとんどがアルミニウムに覆われています。

iPodラインでもiPod classicがこのモチーフを引き継いでいて、ダーク・アルミニウムの表面を特徴としています。 MacBook Airでは、MacBook Proラインのアルミニウムスタイルと、同機種のキーボードと光沢ディスプレイによる新しいスタイルとがブレンドされています。

アップルでは2008年10月14日に、このスタイルに沿って再デザインされたMacBookとMacBook Proを発表しました。それに先立って発表されたMacBook Airと同じように、新しいMacBookとMacBook Proのシャシーは、一塊のアルミニウムから削り出されています。この「ユニボディ」構造は、シャシーのサイズと部品の数を減らすとともに、その剛性を高めることを狙いとしています。

ディーター・ラムス

デザイン界の巨匠ディーター・ラムスはジョナサン・アイブズのことをどのように評価しているのか、と気になるところですが、ラムスはアイブスの仕事を高く評価しています。

「アップル社のデザインは私のデザインのコピーなどではなく、私の過去の仕事に敬意を表してくれていると思っている」と語っています。そして、ディーター・ラムスの「良いデザイン」10か条は現代のデザイナーたちにも多くの影響を与えています。

ディーター・ラムスによる「良いデザイン」10か条

  • Good design is innovative.:良いデザインは革新的である。
  • Good design makes a product useful.:良いデザインは製品を便利にする。
  • Good design is aesthetic.:良いデザインは美しい。
  • Good design makes a product understandable.:良いデザインは製品を分かりやすくする。
  • Good design is unobtrusive.:良いデザインは慎み深い。
  • Good design is honest.:良いデザインは正直だ。
  • Good design has longevity.:良いデザインは恒久的だ。
  • Good design is consequent down to the last detail.:良いデザインはあらゆる細部にまで首尾一貫している。
  • Good design is environmentally friendly.:良いデザインは環境に配慮する。
  • Good design is as little design as possible.:良いデザインは可能な限りデザインをしない。

ディーター・ラムスのキャリア

1932年5月20日にドイツで生まれたディーター・ラムスは、1943年から1957年にかけてヴィースバーデン製作技術学校で建築と大工技術を習得しました。大工だった祖父から強い影響を受けていて、少年時代には大工仕事で賞を受けたこともあります。まだ23歳と若い時にBRAUN社で採用されることになりましたが、BRAUN社で発表した電化製品のインテリアをモダンなものにするという仕事を担当することになりました。やがてBRAUN社のプロダクト・デザインの領域に関わるようになります。

そして1958年には、当時の新素材のアクリルを天板として採用したオーディオ・セット「SK5」を手がけていますが、その美しさから「白雪姫の棺」と呼ばれています。1950年代末のBRAUN社の製品はニューヨークの近代美術館(MoMA)などに、一流のパーマネントコレクションに選ばれるようになりました。ディーター・ラムスとBRAUNデザインチームによって生み出されたデザインコンセプトは、またたく間に名声を得ることになりました。

ディーター・ラムスは、1965年から1995年までBRAUN社のデザイン部門のチーフを務めました。最近では雑誌Wallpaperのデザインも手がけています。